タカラヅカ・スカイ・ステージの「見どころ」、「おもしろさ」を伝えるM・Kさんのコラム「番組チェック!」。タカラヅカ・スカイ・ステージが開局する3ヶ月前の2002年4月17日より始まり、現在も続いている長寿人気コラムでもあります。毎月、お勧め番組を取り上げ、出演している生徒の成長や番組の見所を臨場感をファンの目線で書き綴っています。紹介されている番組がきっと見たくなりますよ。
梅雨なんですが、関東ではあまり雨が降ってません。夏のようなカラッと晴れる日と、ジトジトベッタリした曇りの日が行ったり来たり。空梅雨ですね。今年も夏は猛暑だとか。みなさん、たくさん食べてたくさん眠って、この夏を健やかにお過ごしください。私も、なんとかがんばらねばと思っている、今日この頃です。
さてタカラヅカ・スカイステージも7月で開局5周年。開局以来この「番組チェック」を担当してきた私、M・Kですが、5年という月日には感無量です。その前に送る今回の番組チェックでは、愛音羽麗が大浦みずきをリクエストした「スカイ・ステージ・トーク#51」と、長寿番組「TAKARAZUKAメロディーア」の最終回を取りあげましょう。両方とも、スカイ・ステージのオリジナル制作番組。舞台中継も楽しいのですが、スター個人の素顔や得意技がのぞけるオリジナル番組は、スカイ・ステージならではの楽しみです。
まずは、スカイ・ステージ・トーク#51「大浦みずき・愛音羽麗」。なんと51回目、これも長いですね。大浦の現役時代や愛音の舞台映像もたっぷり流れ、その点でも楽しい番組となっています。
今回、愛音が花組の先輩、元主演男役の大浦みずきをリクエストした理由は「大ファンだったから」。愛音が小学校高学年ぐらいにはじめて観た宝塚歌劇が、大浦の主演お披露目だった花組『キス・ミー・ケイト』('88年)。「こんな世界があるのか」と感動し、以来大浦のファンとなったのです。そして受験を決意した作品が大浦主演の『ベルサイユのばら』フェルゼン編('90年)でした。さすがに筋金入りのファン、愛音のツボをはずさない質問に、大浦の素顔がほんのり浮かび上がるところが興味深かったですね。
『キス・ミー・ケイト』を観て感動した愛音、家に帰ってパンフレットを見ていたら母親から「これ、みんな女性の方ばかりなのよ」と言われびっくり。「あのおヒゲの方も女性!?」…このとき大浦はヒゲをつけていたのです。それもアゴから頬まで覆う大きなヒゲでした。「本当に男の方だと思っていました」と笑います。
そこからはじまったヒゲ話がおもしろい。かねてからヒゲに憧れていた大浦、これはチャンスとばかりつけることにしたのですが、主演男役は動きも激しく汗もかく、しかも劇中劇の部分のみつけたので、何回もつけたりはずしたり…はがれてしまうし、肌あれで肌は真っ赤になるし。途中から後悔しきりだったとか。
愛音は大浦の追っかけだったファン時代の思い出を披露したあと(大浦の退団公演『ジャンクション24』の白いコートのダンスを友だちと真似して踊ったとか)、現在は女優として活躍している大浦に、男役時代との役づくりの違いを質問。それに対する大浦の答えは端的で率直でした。
男役は「自分にない感覚を生み出さないと男らしく見えない。男性らしく見えるために、鎧兜を身につけている感じですね」。それに対し女性として舞台に立つことは、ストレートプレイに関してですが、「自分が持ってるものを探す作業。自分をさらけ出さないと、リアル感というか訴えても力にならない」。「"ないもの"と"あるもの"の違いですね」だそうです。男役時代は稽古場が苦手。とくにラブシーンは恥ずかしくて、おかしくて、なかなかその世界に入れなかったのが、衣装をつけメイクをして舞台にのると照れ屋の部分が消え、役になりきれたとか。タカラヅカ時代の大浦を思いだして、そうなのかと納得した言葉でした。「男役時代は自分のなかで作りすぎるくらい作っていたけど、今はそれがないですね。自分のなかを常にさらすのに必死で」。
愛音も研6のときの2002年、再演された『琥珀色の雨にぬれて』新人公演で女役・エヴァを演じ、この経験は貴重でした。「それまでは男役にならなくちゃと踏んばってた部分もあったのですが、エヴァをさせていただいたときに、楽しいというか自由なものを感じました」。愛音は最新作『TUXEDO JAZZ』でも女役で春野寿美礼とからんでいます。女役をやってみてかえって「こういう男役になりたいという気持ちがもっと自分のなかであったらいいのかなと思った」とか。それに対して、大浦は「私は、下級生のころから、こういう男役になりたいという具体的な目標はなかった。ただ自分が今こうありたいという欲求はあった」と、あくまでも自然体の答えでした。
男役10年について、上級生から伝承されるもの…話ははずみます。初演の『琥珀色の雨にぬれて』で大浦がルイを演じたのが「10年目か11年目」で、そのころから「やっと背広が似合うようになったね」と言われたとか。「私の前の世代の人たちはもっと主演男役になるのが早かったので、10年目のころはけっこう焦ってましたね。主演男役になるというよりは、目標として、大浦ってのが居たなって、そういう存在になりたいなとずっと思ってて」という大浦の言葉に、「いやもう存在感は、私のなかではすごかったです」と愛音。
「宝塚はすごく楽しい時間だった」と述懐する大浦。やめた今宝塚を観ると、そのハードさに「こんなのできないわ、毎日」と笑います。
実は大浦、今年のバウ・ワークショップ『ハロー!ダンシング』の第1場「BENNY RIDES AGAIN」の振付アドバイザーとして、各組の若手を指導しているのです。「今の人たち、技術とかすごいですね。昔ってなんにもレッスンしてなくても入れたところがあるけど、今は無理でしょう」。「教えるのはヘタクソなんです」と言いますが、「私が踊ったときは35歳だったけど、みなさんは20代。がんばって」と稽古しているようです。「BENNY RIDES AGAIN」の振りは特別男っぽくありません。それを女役と区別できるように踊る技、見せどころ…若手にとって大浦の指導はさぞかしうれしいことでしょう。
続いて健康法、筋肉トレーニングについての話で盛り上がります。大浦は、若いころは身体のケアに無頓着でしたが、膝を故障してから(主演寸前でしたね)気をつけるようになり、今凝っているのは、流行の加圧トレーニング。専門家の指導のもと、腕と脚の根元にバンドを巻いて付加を与えてトレーニングする方法で、血流がよくなり、筋肉がつくので、痩せた結果筋肉まで落ちてしまいがちなタカラジェンヌにはぜひ、と勧めます。
この辺でそれぞれの最新の舞台について抱負を。大浦は8月に後輩の名ダンサーたち、紫吹淳、湖月わたる、朝海ひかる、風花舞、星奈優里ほかとダンス・ショー『DANCIN' CRAZY』に出演します。また愛音は、バウ主演作の『舞姫−MAIHIME−』を控えていました。
続いて大浦からの愛音への質問コーナー。休みはどうする?踊り、歌、芝居のどれが得意?(芝居がおもしろい、悪役をやってみたいと、愛音)。逆に愛音から大浦へ、これから挑戦したいことは?(実在の人でパイオニア的なおもしろい女性をやってみたい)などなど興味深い話が続きますが、この辺はぜひ放送で。
トークの合間に、大浦の『ベルサイユのばら』フェルゼン編、退団公演だったショー『ジャンクション24』(愛音が真似をした白いコートのダンスも入っています)、ルイを演じた'84年初演の『琥珀色の雨にぬれて』と、愛音がエヴァを演じた2002年再演の『琥珀色の雨にぬれて』新人公演、女役で春野と踊った今年の『TUXEDO JAZZ』…貴重な舞台映像もたっぷり流れ、それも見どころですよ。
礼儀正しく先輩の話を引き出す愛音、肩の力を抜き、自然体で率直に答える大浦…一つの時代を築いた偉大な主演男役の大浦の言葉は、さりげないけど説得力に満ちたものでした。
番組は、愛音がリクエストした大浦の舞台映像で終わります。'83年バウ公演『アンダーライン』、ショー『ザ・フラッシュ!』の安寿ミラとのダンスシーン…なるほどとうなる、ファンならではのセレクト。私も強烈に覚えている作品と場面で、なんだかうれしくなりました。『ザ・フラッシュ』は放送もありましたね。『アンダーライン』もだいぶ前に放送されましたが、もう一回見てみたいですね。
さてもう一つ取りあげたいのは、TAKARAZUKAメロディーアの#46「最終回スペシャル」。第1回目の放送が'03年10月ですから、これも長い。宝塚歌劇の名曲を、オーケストラ演奏と歌で綴るというシンプルな構成で、心をホッといやしてくれるここちよい存在でした。司会と歌唱を担当しているのは、美穂圭子と花瀬みずかですが、番組発足当時は美々杏里と美穂圭子でしたね。美々の退団で花瀬に代わったのですが、3人とも宝塚きっての名歌手。娘役ならではの美声としっとりした表現力が、感動を呼びます。
最終回の今回は、美穂と花瀬がそれぞれ2曲ずつ、好きな曲を歌っています。花瀬が『WEST SIDE STORY』の「サムウェアー」と『パパラギ』の「心はひとつ」、美穂は、地球がひとつになればいいという「ひとつ」と『ルードヴィヒII世』の「愛の果てに」。さすがの歌唱にうっとり聴き惚れました。
このメロディーア#46「最終回スペシャル」、残念ながら放送は終了しているのですが、組も学年も違う2人の名唱を聴いていたら、これまでの分も含め、もっともっと聴きたくなりました。総集編はどうでしょうか。リクエストしたくなりました。

さて7月は、いよいよ開局5周年記念。オリジナル収録映像が一挙100本放送されます。またOGで、宝塚で振付家として活躍している羽山紀代美の、振付家生活30周年を記念したダンシング・リサイタル「ゴールデン・ステップス」の放映もうれしいですね。専科の轟悠に初風緑、月組の瀬奈じゅん、雪組の朝海ひかる、星組の湖月わたるなどが出演した豪華舞台。大階段上の黒燕尾の群舞もたっぷり見られるようです。春野のコンサート「I GOT MUSIC」、湖月主演の『ベルサイユのばら』−フェルゼンとマリー・アントワネット編−東京宝塚劇場千秋楽も初放送。タカラヅカニュースの5年間をまとめた「ファイブ・カラット」も興味深い。どれをチェックしましょうか。楽しみお待ちください。M・Kでした。







