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NOW ON STAGE 月組・東京宝塚劇場公演『パリの空よりも高く』『ファンシー・ダンス』

宝塚ロマンチック・コメディ
『パリの空よりも高く』
〜菊田一夫作「花咲く港」より〜
脚本・演出/植田紳爾
菊田一夫の名作「花咲く港」をモチーフにした、初春らしい明るく華やかなコメディ作品。
1887年、パリは2年後に迫った万国博覧会の話題で賑わっていた。1851年にロンドンのハイドパークで第1回が開催され、続いてパリ。1867年以来2度目の万国博覧会ということで、パリの人々は期待と興味で盛り上がっていた。
パリの場末のホテルに滞在する稀代のペテン師アルマンドとジョルジュは、これを餌に一儲けしようと虎視眈々とその機会を狙っていた。そんな時、ホテルに長逗留する気が弱く売れない建築家のエッフェルが夢見ている、世界一高い塔を作りたいという話に閃いた。これを口実に金を集め、持ち逃げしようと企んだのだ。
二人は、世界的な万国博覧会の会場に、世界一高い塔を建設するという夢のような話をぶち上げた。しかし、それは思わぬ方向に進んでいく。1867年には水晶宮を作り世界中の話題をさらっただけに、第2回の目玉にしてフランスの国威高揚にしようと、人々は動き出したのだ。二人のペテン師の意図が、純粋な人々の熱意に支えられ、思わぬ方向へと展開していく。
そして、春まだ浅い小雪の舞うサクレクールの丘の上で、見事に出来上がったエッフェル塔を眺める二人の姿があった……。
レビュー・ロマネスク
『ファンシー・ダンス』
作・演出/三木章雄
ショーの華であるダンスの魅力にスポットを当て、バレエの名作をモチーフにしながら、夢を掴もうとする男たちの熱い思いを、瀬奈じゅんのソフィスティケイトで、ナイーブかつエネルギッシュなショーマンとしての魅力で追求するショー。ブロードウェイで活躍中のダレン・リー氏振付による場面が、ショーを華やかに彩る。
エッフェル塔を建てようという人々の夢に巻き込まれた気のいいペテン師の物語『パリの空よりも高く』と、ダンス、ダンス、ダンスのショー『ファンシー・ダンス』…明るく楽しい作品が並んだ月組公演が、東京宝塚劇場にやってきました。今回の座談会には、瀬奈じゅんと彩乃かなみと、専科の未沙のえる、今回から組長に就任した出雲綾、それに副組長の嘉月絵理が出席。大劇場公演の失敗談やエピソードなどを語っています。後半は東京公演座談会恒例のQ&Aですが(やってみたい役、組替えの遼河はるひと桐生園加について、未沙のほのぼのエピソード、新組長の出雲ってこんな人、東京への抱負など)そちらはぜひ放送で。息のあったやりとりが楽しいんです。
●まずは愉快な自己紹介から…『パリの空よりも高く』
座談会は『パリの空よりも高く』について、それぞれの役について自己紹介。お行儀がいい瀬奈と彩乃に対し、ほかの出席者はベテランぞろい。自由というか柔軟というか、思い思いの表現に、笑いがわきます。
| 瀬奈: |
悪党になりきれない可愛らしいペテン師、アルマンド・ジャッケを演じます瀬奈じゅんです |
| 彩乃: |
アルマンド・ジャッケさんを密かに想い慕うパリの花売り娘、ミミ役をさせていただいております、彩乃かなみでございます |
| 未沙: |
いたって真面目な上院議員、レオニードを演じております専科の未沙のえるです。よろしくお願いします |
| 出雲: |
オテル・ド・サンミッシェルの、可愛い! 女主人(一同笑う)、エレノール・ラ・モール役をさせていただいております、出雲綾でございます |
| 嘉月: |
昔ジュリアン・ジャッケ先生にお世話になった、渋カッコいい! ドミニク将軍を演じております(笑)、嘉月絵理でございます |
| 瀬奈: |
…ということで、とても個性的な(笑) |
一同笑
| 瀬奈: |
自画自賛な自己紹介をしました |
| 未沙: |
自分がそう思っているってことやね |
| 瀬奈: |
そうそう。人がどう思うと自分がそう思っている… |
| 嘉月: |
苦しい(笑) |
| 瀬奈: |
(笑)…今回はですね、未沙のえるさんと(一同拍手)、月組のこういったメンバーで座談会を始めたいと思います。…さっき言ってた形容詞は、舞台の上でみなさん、どのように生かされているんだろうか |
| 未沙: |
すごい生かされているよね |
| 嘉月: |
そうですよね |
| 瀬奈: |
"いたって真面目な"…真面目に、髪に葉っぱがついちゃってて。そんなこと気にもせず、必死なんですね。私も血だらけになっちゃって(笑) |
| 未沙: |
血だらけやもの、すごいよ |
| 瀬奈: |
どれぐらい血だらけなんだろうと、思って(笑) |
| 未沙: |
もうバーッって(笑) |
| 嘉月: |
想像しちゃうんですよね、すごく |
| 未沙: |
ねぇ。とくに頭からこう(垂れ下がる仕種) |
| 嘉月: |
ドラム缶がガーンと飛んできたりとかね |
| 瀬奈: |
何が飛んできても、ウリャーって(両手で投げ返す仕種) |
一同大笑い
| 未沙: |
ハハハハ…いい人だものねぇ、アルマンドさん |
| 瀬奈: |
はい…どうですか? 女主人? 可愛い女主人 |
| 出雲: |
私? あ、ピンクが似合う。アハハハ… |
| 嘉月: |
そうですねぇ |
| 出雲: |
オペラピンクが似合う、ねぇ |
●出雲のジャケット事件とは?
話は大劇場公演中のエピソードに。個性豊かなメンバーのこと、話は芝居とショーを行ったり来たり。ある日、芝居の冒頭に勃発した、出雲のジャケット事件とは?
| 瀬奈: |
…座談会が始まったそうそうこんな話をするのもなんなんですけど |
| 嘉月: |
ぜひお願いします |
| 瀬奈: |
たきさん(出雲)1回、素敵な!! 素敵なジャケットになりましたよね |
| 出雲: |
私のエピソードもう始めちゃう?(笑) |
| 瀬奈: |
あれはどういった経緯だったんですか? |
| 出雲: |
それは、全部を見ていたえりちゃん(嘉月)から |
| 嘉月: |
(出雲は)お衣装部さんでまず着替えて、半袖の白いブラウスを着てスカートをはいて、で、カゲソロをしてから上手にいらっしゃって、ロケットの子からマイクをもらって、上着を着て出るんですね。で、けっこう時間がないんですよ、マイク待ちで。いつもお衣装部さんが移動してくださるんですよ、たきさんの上着は。でもその日はお衣装がなかったんです! マイクをつけた瞬間に、お衣装がない! って叫んでる人がいて、もう間に合わない! って言って、お衣装部さんがウワーッと走っていったんだけど、絶対に間に合わないと思って。そしたら、そこにたまたまピンクの燕尾がかかっていたんです |
| 出雲: |
なんか着るものない? なんか上ない? 上から羽織るものない? って言って |
| 嘉月: |
上着をなしで出ると絶対におかしい格好なのね。で『たきちゃん、これ着て出て!』みたいな感じで。…『おかしくない?』『おかしくない!』って(笑) |
| 瀬奈: |
それがショーの"ビギン・ザ・ビギン"の男役のピンクの燕尾のジャケットだったのね |
| 嘉月: |
しかも越乃リュウちゃんのだったのでぶかぶかだったんですけど『全然おかしくない!』とか言って(笑) |
| 未沙: |
(手を打って)おかしい(笑) |
| 瀬奈: |
すごくおかしかったですよね |
| 嘉月: |
でも動揺してらしたから、動揺させたまま出してはいけない! と思って、OKとか言って… |
| 出雲: |
アハハハ… |
| 未沙: |
(笑)いちおう聞いたのね |
| 嘉月: |
(未沙に)たきちゃん違う衣装着てますけど、びっくりしないでくださいって |
| 未沙: |
わかったって、出ていったら、お袖がこんなで(長くて手が隠れている)、電報がこっから(袖口)出ていた。(たまらない様子で)ホホホホ… |
一同大笑い
| 嘉月: |
ずうっとこういう感じでしたよね(前を両手で合わせるポーズ) |
| 出雲: |
ここ(ジャケットの前合わせ)が開くから、男役ってやっぱりここはこう(襟を正す仕草)やるんだなって、芝居しながら思ってた(笑) |
| 瀬奈: |
いろんなこと考えてらっしゃったのね |
| 嘉月: |
また後ろ姿が可愛かったのね。スカートのお尻が丸くなっているので、燕尾もこう丸くなって(笑) |
| 瀬奈: |
ホワーンとなってて(笑)。私はプロローグではけた瞬間に誰かが『たきちゃんが違う衣装着ている』って |
| 彩乃: |
私です |
| 瀬奈: |
そうそう。でも何の衣装かわからなくてみんなで見に行ったの、花道に。最初はたきちゃんはすごくドキドキしてるんだろうね、って言ってたんだけど |
| 彩乃: |
そうそう |
| 瀬奈: |
みんな大爆笑で(笑) |
| 出雲: |
みほこ(彩乃)はすごく心配してくれてたんだって |
| 瀬奈: |
でもちょっと笑ってたね(笑) |
| 彩乃: |
違うんですよ! えりさん(嘉月)のスタンバイが遅くて、えりさんが今日いないと思って、そっちの方が心配で。そしたらえりさんがバーッと走ってきて、どうしたのかなと思って。『おはようございます、お花をお届けにまいりました』ってお花を渡したときに、あれ!? 何かが違うって…たきさんを見ているんですけど、顔を見ているじゃないですか。何かが違う、何だろう? って…やりながら、あぁ!! 衣装が違う! って(笑) |
| 嘉月: |
(笑)間違い探しみたいね |
何せ冒頭の15分のお芝居、とにかく出られてよかった。しかし出雲自身は冷静にとつとめていたのに、気がついたらソデや花道に人がいっぱい。事件を聞きつけた組子が見物に集まったのでした…。
●落ちてきたガムテープを軽妙に処理。さすがは未沙
未沙が絡んだエピソードは、瀬奈と出雲、嘉月と4人で芝居しているとき、突然落ちてきたガムテープの固まり事件。舞台のまん中の鎮座するそのガムテープを、未沙が鮮やかに裁いたのです。
| 瀬奈: |
(未沙に)何かありました? ハプニングとかエピソードとか |
| 出雲: |
あれ、あったじゃないですか、ガムテープ |
| 未沙: |
(笑いくずれる) |
| 出雲: |
もうねぇ、あの場面があれからホントにおかしくなって |
| 瀬奈: |
(彩乃に)ガムテープの固まりみたいなものが落ちてきたの |
| 嘉月: |
4人で話してたらボトッて… |
| 出雲: |
驚いた。ボトッて音がして。お客さま、パッと笑ったのね |
| 未沙: |
みんな知らん顔して芝居して… |
| 出雲: |
でも芝居しながらパッと横目で見て、ガムテープだ、黒いガムテープだと心の中で思いながら… |
| 嘉月: |
しかもど真ん中だったの |
| 未沙: |
ホントにど真ん中だったね。で、たぶんみんな、いつか拾わないとと思っていて |
| 出雲: |
どこで拾おうと |
| 未沙: |
どセンターやったから、どこで拾おうと。みんな考えてたよね |
| 嘉月: |
(笑)私は将軍だからね、拾ったらおかしい |
| 出雲: |
私が絶対拾わなきゃって思ってたの。で、ここで拾おうと思ってた、その直前にまやさんが(笑) |
| 未沙: |
『ちょっと待て』(笑) |
| 出雲: |
まさか台詞を中断してまでとは思わなかったのね。なんかの台詞を言いながらサッとさりげなく取るというふうにしか考えてなかったのね |
| 未沙: |
(笑) |
| 出雲: |
まさか台詞を『ちょっと待って』って中断して、『これがさっきから気になるから拾っとくわ』って(笑) |
| 瀬奈: |
でも、さりげなく拾う方が気になる |
| 未沙: |
そうそう。さりげなく拾ってもお客さんに絶対わかるから、これは言っちゃった方がいいと |
| 瀬奈: |
さすが! |
続いてそれぞれのエピソードが披露されました。瀬奈はショーで乗っている車が動かなくなって、脱出したら彩乃が取り残されました。嘉月はショーの人形使いのとき、コロンビーヌという名が出てこなくなって大変でした。花組時代の新人公演のとき、瀬奈が未沙にロングブーツを借りたことがあったなんて、意外なエピソードも。月組が長かった未沙、久しぶりの月組出演がうれしそうです。今回組長に就任した出雲は瀬奈を中心に結束力の高い今の月組の状態を心強く思っている様子です。リラックスしたムードのなか、未沙や出雲、嘉月の包容力が、瀬奈と彩乃を包んでいる、そんな楽しい座談会でした。「すごく幸せ」と語る瀬奈が、穏やかな表情を見せています。