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第11回〜第15回バックナンバー


 第15回

 まずは、タカラヅカ・スカイ・ステージ開局1周年、おめでとうございます!
このジャンルにおいては、ほとんどゼロから始めたといってもいいようなこの開局企画。まだ1年といえども、さまざまな失敗や努力そして沢山のドラマがあったことと思います。
この機会に、私もスーパーバイザーとして1年ぶりにブラウン管に登場させて頂き、「タカラヅカ・スカイ・ステージを語る」と題した番組で、その軌跡を語らせて頂くことになりました。
収録の際には、宝塚が新しい扉を開け、その道を徐々に広げつつあることを実感すると共に、この放送に賭ける自分自身の熱い思い!?を再確認したひと時でもありました。

そこで今回は、このCS放送の立ち上げに大きく関わった方の中からお一人、事業部長のI氏に、発足の理由から現在に至るまでの道のりを改めてお聞きしてみました。
この方は以前、宝塚歌劇団のプロデューサーも経験しており、私も在団中は大変お世話になりました!
宝塚の舞台は昭和36年からご覧になっているそうで、まさに宝塚を支えるために生まれてきたといっても過言ではないでしょう。
ご多忙ゆえ、ゆっくりお話を伺うことはできませんでしたが、I氏の書かれた「デジタル時代の宝塚歌劇」という論文を読ませて頂き、その中でもこの世界の組織を知り尽くした人物でなくては書けないような奥深さを感じました。
大変参考になる興味深い内容が多く、デジタル放送などの専門的なこともわかりやすく書かれていました。これについては省略させていただきますが・・・、それにしてもテレビ社会は、ますます複雑になってきますね!
私は、パソコン社会もやっと入り口に立ったところだというのに・・・。
でも!新しいデジタル社会に置いてきぼりになったとしても、理解しようとする精神は続けたいと思います。そして少しでも、未知の世界に戸惑っている方のお力になれれば・・・! これもスーパーバイザーの使命であります!?
・・・話を戻して、今回はI氏の論文の内容を取り入れながら、スカイ・ステージの軌跡をたどってみたいと思います。

宝塚専用チャンネルの立ち上げの目的
(1)劇場に足を運べない方へのケアと、劇場に足を運んで頂くための能動的役割。
(2)ソフトの時代に対応したアーカイブスの充実。
これらは皆さんも、すでにご存知のことと思いますが、開局前にこの放送のモニターを応募したところ、約6000名の方が登録してくださったそうで、皆様のこの開局に対する期待を感じると共に、スタッフ一同が改めて身の引き締まる思いだったのではないかと思いました。
モニターの方々の貴重なご意見を元に、7月1日の開局へ・・・。
未だに生まれたてのチャンネルで改善するべき点は多々あると思いますが、現在に至るまで、解約率は他局に比べ非常に少ないそうで、これはひとえに、宝塚を応援してくださる皆様の大きなお心に支えられていると実感せずにはいられません。
だからこそ、この2年目が大切な鍵になってくるのだと思います。

ここで触れておきたいのが、リピート放送について。
CS放送となると、どうしても番組のリピートが多くなってしまいますが、実はこのスカイ・ステージ、毎月新しく制作する番組を時間数にすると、キー局からネットで番組を受けている地方局よりはるかに多いそうです。
とはいえ、他局と比べてばかりではいけません。
リピートしても、十分楽しんでいただけるような「丁寧な」番組作り。
これは、私の切なる願いでもあります。
舞台映像にしてもオリジナル映像にしても、生徒という素材を、いかに料理するか!?
食事においても、素材に合った調理をし、その調理されたものをそれに合ったお皿にきれいに盛ってお客様に出す。ここまでがプロの料理人の作る「料理」というものだと、私は思います。
その「料理」を何度も食べられるか?といわれると、返事に困ってしまいますが、
「あの料理は美味しかった。また食べてもいいな」という思いが残れば、
「あの番組は良かった。また見てもいいな」という思いに繋がると思います。
例え二度三度と繰り返し見ることにならなくとも、いつかはそれが「信用」というものに、変わっていってくれる・・・私はそう信じています。
その為にはスタッフの方に、今より更に!収録の前の十分な番組作りの準備を心がけていただきたいと願っています。
そして、収録の際は生徒をきれいに撮る(これは姿形だけでなく、ハートの方も)ということも忘れずにお願いします!

もうひとつ、映像素材について。
これは宝塚専用チャンネルの立ち上げ目的の(2)にもあるように、過去の映像が課題になってきます。歌劇団が現在持っている素材は阪神大震災の後の舞台映像がほとんどで、それ以前のものについては、NHKさんと関西テレビさんからお借りするという状況です。
しかし・・・、両放送局の方にお調べ頂いたところ、残念ながら1980年以前のものはほとんど残っていないという結果がわかりました。
「舞台という時間芸術は、それを切り取って残さない限り永遠にないということになります。これからはすべての舞台、宝塚も東京も、全国ツアーもバウホールもディナーショーもすべてこの放送が残していく。それが必ず宝塚の貴重な財産になると信じています」。
I氏がそう語るように、これからの宝塚の映像素材は大きな役割を果たしていってくれることでしょう。
そして残された貴重な素材の保管も・・・、責任は重大です。

先月の打ち合わせの主な目的は、「2年目のスカイ・ステージ」についてでした。
スタッフの皆さんのお話から、この2年目は舞台映像に力を入れていこうという思いが伝わりました。これは、視聴者の方のアンケートも考慮した結果でもあります。
もちろん、オリジナル番組の充実についても十分に討論いたしましたのでご安心を!
これについては、先ほど書かせていただいた「丁寧な」番組作りというのが、キーポイントになってくると思います。

最後に・・・。
I氏との話し合いの途中で、彼からある漫画を渡されました。
タイトルは「百年後の宝塚見物」。昭和22年(1947年)に宝塚の雑誌『宝塚グラフ』に寄稿されたもので、100年後の宝塚はこうなるという想像がユニークに描かれています。
まず、時間がなくて化粧もせず、滑り込みで劇場に到着された女性のお客様のために、“自動化粧器”があり、頭を突っ込めば一瞬にしてメイクアップ完了!
お子様や座高の低い方のために、伸縮可能なバネの付いた客席あり。
舞台は自動オーケストラで、背景はすべて天然色立体映画。
生徒はメイクアップの発達で、化粧をしたまま楽屋口を自由に出入り。
キャトルレーヴのようなところでは、“立体スチール”や“発声ブロマイド”を発売。
実にユニークな絵が15コマにわたって書かれています。
そしてその中にひとつ、切符の買えなかったお客様へのサービスとして、街頭のビッグスクリーンによる舞台中継が流されている映像があります。
皆様、これだけが唯一、百年を待たずして宝塚で実現されているという点にお気が付かれましたでしょうか?
年に一度のTCA スペシャルやサヨナラショーは、現在、主要都市で同時中継されていて、まさにこの絵の通りといったところです。
そんな絵を誰が描いたのか?
もう皆様もうすうす気付いていらっしゃると思いますが・・・、そう、あの日本を代表する漫画家の「手塚治虫」さんです! 想像力豊かな彼の想像以上のスピードで、約50年も早く映像社会は目覚しい発展をしたということになりますが、手塚さんがこれをお書きになったのは若干19歳。
そして昭和22年(1947年)というと、今から56年前。
今年がテレビ放送開始から50年ですから、その6年も前に手塚さんがこのようなことを予想されていたと思うと、改めて、彼の偉大さを感じるとともに、人間の「想像力」のすばらしさを手塚さんから学ばせて頂いたような気がします。
想像力の豊かさは人間性をも豊かにすると、私は思います。
皆様の19歳の時は、どんな空想をされましたか?
そして、皆様の想像するこれからの「百年後の宝塚―2103年―」はいかがでしょうか!?

次回は、I氏と同じく元宝塚歌劇団のプロデューサーを務めたことがあるという、現番組プロデューサーのK氏からお話しを聞きたいと思います。

 第14回

 6月は「水無月」といわれている割には、雨(=水)の多い月です。
これは陰暦6月の異称、いまの暦では7月頃に相当するものですが、この語源として、暑さが厳しく、水が涸れてなくなってしまう「水の無い月」説と、実はもうひとつ、“無”を“な”のあて字として(“な”は“〜の”を意味しているそうです。)「水のある月」という説があるそうです。
そして、これが和風な“言い伝え”としたら、それとは逆に欧米から流れてきたと思われる洋風な“言い伝え”に “ジューン・ブライド”・・・理想の「花嫁月!?」というものがあります。よく考えると、今の日本というものは様々な文化を取り入れた、バラエティーに富んだ国なのかもしれません。
そういえば以前、日本人は真似をすることが好きな人種だと聞いたことがありますが、この欧米の言い伝えも取り入れてしまうところも、その表れのひとつでしょう。
その他、真似好きの傾向として「〇〇さんが携帯を持っているから・・・」
「〇〇さんがパソコンを始めたから・・・」など、自分の主張はないのかと言いたくなるところですが、そういう私も「ものを書く仕事をしている人は、みんな持っているから・・・」という理由で、パソコン社会に入り込んでしまいました! 最初は使い方もよく解からず大変でしたが、今では「パソコンなくして文章は書けない!」というほど機械に囚われております。
さて、今回もその囚われの身となり、パソコンにお世話になってみようと思います。
今月から少々方向を変え、スカイ・ステージの裏で働く人々を取り上げながら、スーパーバイザーとしての思いを語っていきたいと思っています。

まず初めは、以前TCAで販売用ビデオ・CDなどの収録を担当していたというS氏から。(私も在団中に、録音でお世話になりました!)
彼の担当番組は、「ステージ・インフォメーション」、「宝塚のツボ」、そして舞台収録全般。

「ステージ・インフォメーション」は、ひとつの公演を15分に編集した番組です。
これが彼のメイン番組となるそうですが、実はこの編集という作業、大変に労力を使うものです。
あるものを短くするのは簡単と思われがちですが、私も以前に自分自身の映像を編集したことがあり、「出来るなら、もう二度としたくない!」と感じるほど疲れ果ててしまいました。
15分の間に、芝居であれば“ストーリー性”を、ショウであれば“音楽性”を、そして共通していえるのは“登場人物をわかりやすく”等・・・、必要事項、注意事項が多ければ多いほど、作業は困難を極めます。
しかし何よりも大切なのは、結果的に視聴者の方が現在公演している作品を「観に行きたい!」と、思ってくださることです。 そのためには、場面と場面の「繋ぎ方」がポイント!
一つ一つの場面が短すぎても伝わりにくくなってしまいますが、どうやって視聴者の方の気持ちを惹きつけるか、この「映像の繋ぎ」が彼の腕の見せ所といえるでしょう。

彼のお気に入りでもある「宝塚のツボ」。
これは視聴者の皆様からもご好評を頂いている番組のひとつですが、私自身も開局前からとても楽しみにしていた番組でもあります。
ステージから銀橋や客席を映したり、本番中のオーケストラボックスから銀橋を通る生徒を映した映像などは、まさに「これぞツボ!」といったところです。
これからも私たちを、どんなツボにはめて下さるか期待大のこの番組ですが、実はしばらくお休みになってしまうそうで・・・、大変残念ですが、復帰後!?には「更に深いツボ」を紹介してくださる予定らしく、それを首を長〜くして待っていようと思います。

“舞台収録全般”。(CS放送が開局して以降の舞台の収録)
これに関しては、「タカラヅカ・ニュース」に流れる初日・千秋楽の映像も含まれます。
大・小劇場、全国ツアーなど、年間約90本もの収録をこなしているとか・・・。
そして視聴者の皆様に楽しんで頂く為に、TCAから出される販売用ビデオと、一味違う映像を撮ろうと(原則的にTCAの収録ではカメラは6台、CSでは3台・・・等と様々なハンディはありますが)、スタッフ一同、日夜、悪戦苦闘の日々が続いています。・・・そう・・・、以前の彼の職場は、今や“ライバル”と化しているのです!
その彼のこだわりは、生徒のアップの映像に映し出される“汗”にも表れているようです。
「清く・正しく・美しく」のモットーのごとく、汗も“美しく”なければならないのであります!
そして、場面の終わりや、ソロの歌のラストには、できるだけアップを欠かさないというのも、彼のこだわりのひとつ。このアップにするタイミングと角度がうまく合うと、実際客席で見ている観客心理がそっくりそのまま、視聴者の方に届くはず! 特別な舞台化粧をしているために宝塚の生徒のアップの映像はなかなか難しいものですが、幅広い宝塚支援者の方のためにも、これからもスカイ・ステージでしか見ることのできない、飛び切りに美しい、観客の心理を突いたアップの映像の追及をお願いしたいと思います。
それからもうひとつ・・・舞台全体を映す、引きの映像について。
これは、宝塚の華やかさを表すためにも必要なアングルであり、昔よりもだいぶ進歩は感じられますが、“更に!”舞台を客席後方で見ていらっしゃるお客様と同じように、“臨場感”を感じる映像作りに励んでいただきたいと思います。

最後にこんなことを聞いてみました。
  夢は?―「めざせ宝塚版、ミュージック・フェア!!」・・・(音楽好きという彼らしい答えです。この夢あきらめないでくださいね。)
  悩み事は?―仕事が忙しく、このままでは友達を失くしそうなこと。
  大切なことは?―「トータルバランス・プロ意識・育成・存在感」をキーワードに、「謙虚→感動→情熱→向上心→努力」のサイクルを維持し高レベルを達成していこうとする気構え!

S氏とは、簡単なインタビューのほかには、パソコンのメールで質問のやり取りを行いました。
冒頭に書かせて頂いたように、パソコンはこのコラムを始めるということで購入したといっても過言ではありませんが、正直なところ、私はこのパソコンという機械から生み出される無機質な文章が苦手でした。
パソコンにも限界があります。考えたことを紙面にしてくれるのはパソコンでも、その考えの中に優しさや思いやりを込めるのは人間です。
そして、これは読み手にも同じことが言えます。読み手のちょっとした体調の具合や、取り方の違いで大きな誤解を生んでしまうこともあると思います。
自分の思いが、この機械を通して正確に読み手に伝わるだろうか・・・そんな不安を抱くときもあります。
でも今回、S氏とのメールのやり取りで、彼のスカイ・ステージに対する、“熱すぎるほどの思い”が伝わってきました。
このように、機械というものがその人の「言葉の代理人」ではなく、「心に思っていることを伝えるメッセンジャー」であるなら・・・人間は機械に支配されるのではなく、上手に付き合っていくことができるのではないかと感じました。
ブラウン管を通した宝塚も、このスカイ・ステージがそのメッセンジャーになってくれることを願っています・・・。

次回は開局1周年。スカイ・ステージを代表して事業部長のI氏に番組全体についてのお話しを伺ってみたいと思います。実はこの方、私の花組時代のプロデューサーでもありました。どうぞお楽しみに!

 第13回

 青葉が茂る今日この頃、木々の間からこぼれる陽射しは、ランチタイムをテラスで過ごす人々の顔を明るく照らし、そして私の右頬には車の窓の隙間から優しい風が・・・ 「あー、今年もまた、私の大好きなこの季節が来たんだな・・・」と自然に私の顔も明るく緩んで!?おります。

さて季節は巡るといいますが、私のこのコラムも季節を一回り、丁度一年が経ちました。
去年の今頃はまだ開局しておらず、未知の世界への期待と不安が重なり合っていた日々を過ごしておりました。そして開局・・・。
この一年間スーパーバイザーとして、主に―オリジナル番組(特別番組・新企画を含む)―、―営業促進―などのアドバイスを行ってまいりました。
今回はこれまでの簡単な経過と今後について語っていきたいと思います。

まず−オリジナル番組−については、視聴者の皆様には「タカラヅカ・ニュース」「スター・ロング・インタビュー」などで、舞台とは違う“生徒の顔”をご覧頂く機会が増えたことと思います。また「宝塚アーカイブス」「宝塚クロニクル」などで、宝塚の歴史に触れて頂いたり、「宝塚のツボ」で、直接目にすることのできなかった裏の部分に潜入したりと、この世界に関する興味も幅もだいぶ広げて下さったことと思います。(その広がりが、宝塚歌劇を見る楽しみに繋がって下さったらと、日々願っております。)
これらの番組の中で代表的なものをひとつ挙げるとすると、やはり「タカラヅカ・ニュース」でしょう。
これはスカイ・フェアリーズたちが交代で司会を務めて宝塚のホットな情報をお伝えしていくものですが、加入者の皆様のご期待もかなりあり、スカイ・ステージの“目玉”といっても過言ではありません。
今テレビは“ドラマ”より“ニュース”=「速報性」の時代といわれています。
しかし、「速報性」といっても、タカラヅカ内では毎日大きなニュースがあるわけではありません。故に流れる映像が毎回同じになってしまうこともしばしば・・・。
開局後、半年が過ぎたころ「ニュース」という題名自体がそぐわないのではないかと考えたこともありました。
そして、いつ情報が変わるか分からない映像を見続けてくださっている視聴者の皆様が、待ち疲れるような番組になってしまうのではないかと危惧したこともありました。
もう少しわかりやすくお伝えできるように・・・と願いながら意見交換を繰り返してきましたが、日を追うごとに初日・千秋楽などの映像の取り込み方、毎日流れる映像の見せ方に変化が見られ、「速報性」という点においては少々欠けますが、これはタカラヅカ世界における“オリジナルの情報網”なのだと感じるようになりました。
見る楽しみを兼ね備えた、更なる“オリジナル情報網”の向上を期待します。

番組以外でこの専門チャンネルの特徴として挙げるとすると、舞台とは違った角度の“生徒の顔”(インタビューシーンなど)が多く見られるようになったことでしょう。
しかし、これは時として、生徒の言葉ひとつ、接し方ひとつでその生徒の舞台で築き上げてきたもの、これから築こうとしているものに対してのお客様の見方に影響を及ぼす可能性も出てくると思います。
その様なことをふまえ、生徒が関わる収録においても様々な意見交換を行ってきました。その生徒の心がけ、努力はもちろんのことですが、それを見守るスタッフ側の適切な対応と指導、しっかりとした構成にも、今後も努力を続けていってほしいと思っています。

−営業促進−については、現在約2万人の方が(これはスカイパーフェクTV!2の全加入者の約半数にも上ります!)加入して下さっているとはいえ、まだまだ一般的な認知度や浸透度においては不足しているところもあると思います。
それを補うためにも、例えば、劇場のロビーなどでチラシを配布したり、実際にスカイ・ステージで放送している映像を公開したり、さらに全国ツアーの開催地に集まってくださったお客様やバスツアーでご観劇にこられる皆様が、各劇場や行き帰りの車内のテレビで見ていただけるような、スカイ・ステージ「オリジナル・プロモーションビデオ」の作成など・・・、スタッフ側も奮闘中です。
“一人でも多くの加入者を!”という願いはありますが、私としては、これらの活動の主旨として、皆様の潜在意識の中により深くスカイ・ステージの存在を刻んで頂きたいという思いがあります。

全体を総合して、この1年間は基礎作りの年であったと思います。
次なる年は、品質の向上にも努めていってほしいと願っています。音声ひとつとっても、トーク番組で何を話しているのかわからないようでは、番組としてお見せする意味はないと思います。
また番組のジャンルに対しては、視聴者の方を意識した番組とそうでない番組(例えるならば、宝塚アーカイブスや阪急沿線プチボヤージュなど)、各トーク番組の個性・・・見ただけであの番組だと分かるようなセット作りなど・・・をはっきり出していってほしいと願っています。
そしてこれは最大の願いでもありますが、生放送ものを増やしていってほしいということです。
これら全て、スタッフ間においてはすでに検討中ではありますが、どれだけ実現できるかではなく、どれだけその実現のために努力していくかということが重要になってくると思います。(番組に対する私の数々の厳しい苦言をものともせず、立ち向かってきてくださった人たちなら、必ず実現してくださると信じておりますが!)

私自身としては、今後は番組におけるアドバイスと共に、次々とアイデアが浮かんでしまう!・・・という自分の特長を生かして、新企画の番組作りに多いに参加していきたいと思っております。
この仕事に携わることにより、自分の視野も広げることができました。
これを自分自身で吸収し、生かしていく為にも、2年目のスーパーバイザーに挑戦します。
今後共、よろしくお願いいたします。

まだまだ語り足りないことはありますが、それについては開局一周年にあたる7月1日に一時間番組としてゆっくり語らせていただくことになりました。(題未定)
スカイ・ステージをご覧頂いている皆様には、そちらでもお目に掛かりたいと思います。

来月からは、各スタッフの皆さんにお話を伺いながら、それぞれの番組について語っていく予定です。


 第12回

 季節は巡り、日本列島にも春がやってきました!
・・・といっても、毎年4月中頃までは肌寒い夜が続き、私の場合かなり長い間ホットカーペットのお世話になっていたような気がします。
そしてそんな時には、「入園」「入学」の響きがなんとも温かく感じられたものです。
皆様お察しの通り、宝塚音楽学校の入学式もこの4月に行われますが、さて今年は何人の生徒が狭き門をくぐり、夢の切符を手に入れたのでしょうか?

音楽学校の試験には今でも沢山の受験生が集まってきます。
・・・今でもと言うより、昔よりさらに!といった方が適切かもしれません。
1970年代の中頃までは、この学校の門も今よりはかなりゆとりのあるものでした。
それが、あの「ベルばら」ブームと言われたときを境に受験者は急増。
近年では一番多いときで48.3倍!
もし私がこの年受験していたら、当然のごとく落ちていたことでしょう。
(ちなみに私たちの受検倍率は13.7倍。過去20年でもっとも低い確率の年でした。)
授業内容も当時とはかなり違い、その生徒の技術レベルに合わせて授業のカリキュラムも増えたそうです。
入学して一年目、上下関係の厳しさには学生時代の体育系クラブで経験のあった私も、慣れない寮での共同生活に戸惑ったこともありますが、自分にとって一番苦手だったのは朝のお掃除。
小さい頃から朝起きるのが苦手。だから、まぶたは半分落ちたまま・・・。
そんな中、クーラーも暖房も効かない場所をひたすらお掃除。
寒い冬、バケツに溜まった冷た〜いお水で雑巾を絞るとき、「この水は暖かい・この水は暖かい・・・」と呪文を唱えては、「はっ!」と気合を入れていたことを思い出します。
自分が担当していた場所の中に、普段は人が使わない場所もありました。
あまり使わない場所なら、1ヶ月に一度でいいのに・・・と考えたこともありました。
でも埃というものは、一日置いただけでも溜まるものなのです。
芸を磨くことも同じなのでしょう。一日一日の積み重ねが大切なのです。
今日はこのくらいでいいやと思ったことは、いずれ自分に返ってくる。
掃除は誰のためでもない、自分のためなのだ。
・・・と今でこそ、偉そうに言っておりますが、毎日が一生懸命のあの頃。
頭ではわかっていても、辛いものはツライ。
自分のためなのだと確かに実感したのは、歌劇団に入団してからだったように思います。
そして、その辛い思い出が、今では私の心を微笑ませてくれるのです。

人との関わり方として小学校低学年の頃までは、縦の繋がりが強いように思います。
家族と過ごす時間の方が多いであろう、この時期、この場合の縦とは上下関係ではなく、親や兄弟を意味します。
そして高学年〜中・高校生と次第に横の繋がりが広がり、友人と過ごす時間も増え、徐々に上下関係という縦の認識も生まれてくるように思います。
宝塚というところはその最も凝縮した場所であるともいえます。
また私にとっては「目上を敬い、年下の前では姿勢を正す」。
「友を知ることにより己を知る」ということを自然に学ぶことが出来た場所でもありました。
自分のとった行動、発する言葉がそれをすべて反映してきたかと言うと、疑問の余地は残りますが、この精神を深く心に刻んだことは確かです。

最近「個性」という言葉を多く耳にします。この個性というのは“個々の人の特有の性格”であり、それを磨くことは決して人より先に出ることではありません。
それと同様に上下関係が生まれるものではありません。
どこにいても、誰といても、自分で個性を磨いている人は、その場で光ります。
例えば“あの子はあんなに足が上がってうらやましいなぁ”・・・と思ったとき、それが良い方向に向けば、励みやひとつの目標になり、悪い方向に向くと自分を下に置いて、間違えた上下関係を作ってしまうときがあります。
自分も後者の経験が多々あります。でも前者の経験をしたとき、結果的には自分を鍛える、つまりは個性を磨くこと・・・「友を知ることにより己を知る」へと繋がった気がします。

今年も49人の初舞台生が、大劇場にいっせいに羽ばたきます。
宝塚社会において、この時のラインダンスこそ横の繋がりの最も美しい表れであり、そして小さな個性が目覚めるときでもあると思います。
私は他人と自分を比べることを否定しません。
でもそこに、自分で自分を見る視点というものも忘れないでほしいと思います。
片方ずつの手に、横に並ぶ同士の意気込みを感じつつ・・・。

余談になりますが・・・
初舞台にはラインダンスとともに口上というものがつきものです。
舞台人として、大劇場で発する初めての台詞。
「西も東もわからぬ若輩者ではありますが・・・」
この時の自分の声を退団直前に聞きました。
17年前の声・・・。
毎回3名が台詞を3つに分けて喋るのですが、実はどの台詞の部分が自分なのか、わかりませんでした!
今では一声聞いただけでもわかる自分の声。
これも、17年間磨かれてきた個性なのでしょうか・・・?


7月にスカイ・ステージも一周年を迎えます。
番組作りも一段落を迎え、次へのステップに向ける準備に取り掛かる時期が来ました。そろそろ私もスーパーバイザーとして、番組についての思いを書き記していきたいと思います。


 第11回

 日本全国、只今卒業シーズン!
“卒業”というと高校時代、卒業旅行と称して同級生とともに、温泉に行ったことを思い出します。
これが私にとって家族とではなく、初めて友人達と行く自立!?旅行でした。
卒業とはまさに「旅立ち」なのですね。
それを思うとやはり、宝塚の“卒業”も旅立ちなのでしょう。宝塚をあまりご存知ない方の取材を受ける際、退団のことを「引退」といわれることがあります。
その度に、「いいえ、宝塚の場合は辞める事を退団というのです」と繰り返しています。たいてい、取材の方はさほど気にも留めず訂正して下さいますが、ここには大きな差があります。「退団=卒業」、決して引退ではないのです。
また、ほとんどの生徒は自分の退団公演の千秋楽で、一人ずつ黒紋付・緑の袴を身にまとい、大階段を下り、センターマイクでお客様に向かい退団のご挨拶をします。これは、彼女たちにとって宝塚人生の最後の花道のようなものでしょう・・・。
(自分もその一人でありながら、“彼女たち”とは少々第三者的ですが・・・。)
これをお客様は拍手というはなむけで温かく送り出してくださいます。

皆様の中に、千秋楽公演をご覧になったことのある方はどの位いらっしゃるのでしょうか? この千秋楽というもの、退団者のあるなしにかかわらず、なかなか座席を確保することが出来ません。これが主役級の退団公演、それも“さよならショー”付きともなれば尚更です!
このさよならショー、そもそもは昭和37年(1962年)主役の生徒が退団する際、最後の大劇場公演と東京公演の千秋楽に、その生徒の思い出の名場面などを綴ったものを「さよならショー」として追加上演されたことから始まりました。ちなみにこの時の主役の生徒は明石照子さんでした。
以来、主役級に限らず、退団者が紋付袴姿で千秋楽公演に舞台上からお客様にお別れの挨拶をするのが恒例となったようです。そしてこの退団の姿は、ほかの世界に類を見ない、宝塚ならではの特別なものとなりました。

この様な入手困難な退団公演、及び初日・千秋楽の組長・主役をした生徒による挨拶の模様などが、スカイステージの開局に伴い、観ることのできなかったお客様にも見ていただけるようになりました。
全てをご覧頂くわけには参りませんが、このときの雰囲気を少しでも味わっていただけていることと思います。これぞ、宝塚専門チャンネルの醍醐味!? 「ブラウン管の宝塚」の意義があるというものです!
千秋楽公演の事も含め、限られた方にしかご覧頂けず、ある意味お伝えしにくいこの世界。せめて応援してくださる方々にはこの世界の雰囲気や特性を共に味わっていただきたいと思っています。

特性といえば、何かの記事に企業のトップとは駅伝選手のようなもので、次から次へとバトンを渡すことによって企業の寿命が延びるというようなことが書いてありました。
まさに宝塚もその通りだと思います。
各組の“トップスター”といわれる生徒は、生徒たちの代表選手であり、その生徒たちの思いも込めながら次のスターへとバトンを渡してゆく。そして走る道が「宝塚」・・・。
道の両脇にはお客様という応援団が声援を送り、見守り続けてくださる。
選手によって走る距離は違いますが、皆様の応援があるからこそ、選手たちはこのどこまでも続く道を走りきれるのです。

人それぞれの旅立ち・・・。生徒が退団を決意するとき、耳元で天使が「もう辞めるころだよ〜」と囁くものだと聞いたことがあります。(私の場合、天使は囁かず、この身で「今だ〜」と体感!?した瞬間がありました。)
皆様は何かを決意するとき、天使の囁きが聞こえますか・・・?

卒業といえばお次はやはり入社・・・いえいえ、入団・初舞台でしょう。
次回はこの「初舞台」について語ってみたいと思います。

■「真琴つばさ−宝塚の箱―」応募要項
件名を「真琴つばさ−宝塚の箱−」として、郵便番号、住所、氏名、ペンネーム、電話番号を記載の上、下記アドレスまでご応募ください。
音楽学校・初舞台・ラインダンス・組編成・男役・女役・芸名・衣装・大劇場・紋付袴・その他なんでも!あなたが知っているエピソードも・・・
  件名:「真琴つばさ―宝塚の箱―」  skystage@hankyu.co.jp




真琴つばさプロフィール
 1985年宝塚歌劇団で初舞台。97年月組のトップスターに。『WESTSIDE STORY』『黒い瞳(プーシキン・大尉の娘)』『ノバ・ボサ・ノバ』な どで人気を集める。舞台での活躍は勿論のこと、トークショーやテレビ出演などでも宝塚の魅力を広く世間に宣伝し、宝塚のファン層拡大に大きく 貢献。写真集・エッセイ集・ムック本などでは企画にも参加。どれも大好評を得る。
 2001年7月に宝塚歌劇団を退団。2002年7月21日には東京国際フォーラムにてファーストコンサートが行われるなど、今後の活躍が大いに期待 される。舞台人としての活動に加えて、在団当時から発揮していた卓抜な企画力、抜群のアイディア力を生かし、「TAKARAZUKA SKY STAGE」の スーパーバイザーに就任することとなった。

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